<一人目>

Q おれは安月給だ、仕事はキツくて生活費引いたら手元にはたいした金はのこらない?
不思議なんだけど、とられたぶんはどこにいったの?

もしかして、資本家どもが横取りしてるのでは?


A とられたぶんなんて最初っからありません。
  だから、だれも横取りしてません。


Q じゃあ、資本家はあれだけの富と名声をどこから得た?


A 自分で勝ち取ったんです。あなたからもらったわけではありません。

  
Q じゃあ、これって俺の勝手な思い込み?


A そうです。


Q どうして、俺はそういう風に思い込んでしまう?

A 実はあなたは無能で要領も悪く、誰の役にもたってないんです。キツイ割に給料がやすいのもそのためです。だけどそんな冷徹な事実を認めるのが嫌でしょうがない。だから、”おれが譲ったぶんを、資本家や成功者がいただいて、それで奴らが成功できた”というバーチャルタップン(喜捨)の心理に身をおいていたいのです。

(備考)

怠け者が抱きがちな自己欺瞞の論理のひとつに”おれは競争に参加して敗北した、だから競争成功者はおれが敗北したという行為によって利益をえた。おれは競争成功者に寄付をしたようなものだ。だから俺は成功者がもらった利益の一部を請求する権利がある”という詭弁があります。

これは、野球の二軍選手やジャニーズJrのような”惜しい”人には言えていることですが、ジャニー社長のひいきやドラフト会議に”かすりもしない”人にはあてはまりません。

どうして彼は競争に負けてしまったのか、どうして名医や松坂や安部総理のように上にいけなかったのかというと・・・

1 スキル障壁

  =自分の実力が足りないので、もし自分がそのポジションをまかされたとしてもまっとうできない。
  =競争勝者が受け取っている高報酬は”完全な能力給”
(解釈例)一軍にあがっても松坂と違ってバカスカ打たれる。
 スマップに加入してもキムタクみたいに人気がでない
 総理や社長をやらせても安部より上手い判断ができない

2 ポストが限られているのに志望者が多いので競争率がたかい

 志望者の数が多すぎるので誰か一人を選ぶ必要がある。実力差はあまりないので誰がついても同じ、
  =職務給。
(解釈例)野球での一軍のスタメン枠や、スマップやNEWSは”メンバーが5人”という制約があるので全員がなれるわけではない)


で、じゃあ、逆に、勝者が稼いだ報酬の一部を受け取る権利があるのはどういう人でしょうか?

3 競争勝者が焦るほどに敗者のレベルが高かった。

現在の競争勝者が”こいつがいる限り俺の立場も危ないんじゃないか?うかうかすると俺もこいつに蹴落とされるのでは?”とひやひやするくらいに”俺”の実力が伯仲していたら、勝者のレベルのキープに多大なる貢献をしたということで、勝者が稼ぎ、あるいは得ているポジションの職務給を裂いて、彼らに、何らかの代償を受け取る権利があるといえましょう。

松坂と競り合ったライバル投手、ジャニーズでくすぶっているスマップと座を争ったライバルは”競り合うことによってキムタクや松坂やを輩出したも同然”ということで、いまだに球団やジャにさんから面倒みてもらってます。また、松野明美はオリンピックこそ出られませんでしたが、メダルを取った有森裕子の精神力強化に絶大なる好影響をあたえましたので大事に扱われています。野球の”めんたいリーグ”もおなじようなものかもしれません。

(この話はキリがなくなるので バカとの問答にもどります)



A おわかりでしょうが、実は、そんなタップンはこの世に存在していないのです。どうしてそうおもってしまうのかというと、そう思い込むと、善人気分が味わえて、そう思わないときよりも心がラクになるからです。

浮世を忘れる酒みたいなもんです。

Q ・・・・・・・・・・


撃沈・・二人目へ